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知る 白川郷のむかし話
[うしいけ]

牛池

更新日:2013年01月10日

今は大牧ダムができ、水没してなくなってしまったが、昔は堰堤(えんてい)から上流五百メートルくらいのところに、牛池という底なし沼があったそうな。

この池は、庄川が洪水のたびに水がいっぱいになってな。いつもは気味の悪い色をして静まりかえっていたんやと。池はまわりが三百メートルくらいもある大きなものやった。荻町ではこのあたりを稗畑(ひえばた)と呼んでな、田んぼや畑を作っておったんやと。

この稗畑には、年老いたむじな*1がおって、旅の人や通る人をだましておったそうな。人に化けておどかしたり、池に引っぱりこんだりしたので、本当に怖かったんやと。まわりには家もなくさみしいところやったので、村の人は暗くなると、通らんようにしとった。

*1:[むじな]タヌキのこと。

荻町に住んでいる源爺(げんじい)と呼ばれる男が、この稗畑へ田や畑の草刈りの仕事に来ておってな。そのむじなにいろいろいたずらをされたり、よくだまされたりするので困っとったんやと。

ある日、腹をたてた源爺は、むじなをこらしめてやろうと考えて罠をしかけたんや。そしたらむじなは、大好きなとうもろこしにまんまとだまされて、罠にかかってしまった。そやけど、次の朝源爺が見に来てみると、むじなは逃げて罠だけが残っとった。源爺はとってもくやしがった。

やっとで逃げたむじなは源爺をうらんで、いつかしかえしをしようと思っとった。

夏のある日、源爺は牛を引いて草刈りに来たそうな。そばにあった木に牛をつなぎ、夢中になって草を刈っていた。そのようすをじっと見とったむじなは、ここぞとばかりに人に化けてな、牛を引っぱって行って池の中へ追いこんだ。

牛池 その1

牛はもがき苦しみ、「モー、モー」と鳴きあばれたが、だんだん深みに入っていくばかりやった。

牛池 その2

源爺は、苦しそうな牛の鳴き声にびっくりして、声のする方へと走った。牛のすがたはもう見えず、ブクブクとあわが出ておった。源爺はどうすることもできず池をじっと見つめておった。

牛池 その3

牛池 その4

しばらくすると、池の水は真っ赤に染まっていった。源爺は、牛をあわれに思い手を合わせて念仏をとなえた。

それからというもの、牛のしずんだころになると、池の水の色は毎日赤く見えるようになったそうな。むじなはその池の色におそれをなしたのか、どこにもすがたが見えなくなったということや。

こんなことがあってから、この池は「牛池」と呼ばれるようになった。

その後、この池にあぶら*2が棲むようになったが、他の場所にいるあぶらとちがって、はらの部分が赤かった。人々は「牛の化身(けしん)である」と言って、とることも、食べることもしなかったということや。

*2:[あぶら]沼地に棲む油色をした魚。あぶらめ。

おわり

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