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知る 白川郷のむかし話
[まがりのかいりきよざえもん]

馬狩の怪力与左衛門

更新日:2013年03月10日
馬狩の怪力与左衛門 その1

むかし、むかし、白川郷の馬狩(まがり)村に、ひとりの若い旅人がやってきました。この若者はたいそう馬狩の村が気に入りました。空にそびえる、雪をかぶった真っ白い三方岩岳や、あざやかな緑におおわれた美しい景色と、やさしく親切な村人たちがたいへん好きになったのです。この若者は、この馬狩の村に住むことに決めました。

若者の名は、与左衛門と言いました。加賀の国で刀鍛冶(かたなかじ)をしていただけあって、たいそうな力持ちでした。そのうえ、とっても働き者で、鍛冶屋の仕事をするかたわら、山や野に出かけ、荒れた土地を耕し、畑をつくりました。大きな岩や大木も軽々と取りのぞいて畑をひろげていきました。村人たちは、力仕事になると、与左衛門にたのみにきました。そんな時には、どんな仕事でも、こころよく引き受けてやりました。

与左衛門が、鍛冶の仕事を始めると、近所の子どもたちがあつまってきます。ふいごをあおりながら、子どもたちに昔話をしてくれるのです。なかでも子どもたちの一番のたのしみは、真っ赤に焼けた重い鉄の玉を、火ばさみを使って空高く投げ上げたり、二本の火ばさみで二つの玉をお手玉のようにするのを見ることです。子どもたちは、この火の玉の遊びをみせてもらうと満足して家に帰ったということです。

ある秋の日、与左衛門のおかみさんが、昼めしのしたくをしている時、どしん、どしんと地響きがして、家がぐらぐら動きました。おかみさんは何事かと思って、表へとび出しました。見ると、大きな鉄棒を引っさげた強そうな男が四人立っていました。

おかみさんは、びっくりしてつっ立っていると、「与左衛門さんはおられるかのう」と、たずねるのです。

「与左衛門は、今、山へたきものを背負いに出かけて留守ですが、もうすぐ、もどると思います。どんな御用でございますか」

おかみさんがおそるおそるたずねると、

「おれたちは、加賀の国の者じゃが、こちらの与左衛門さんが、たいそうな力持ちだと聞いたんで、力くらべにまいりました」

大男に似合わず、ていねいに話します。おかみさんも、ていねいに言いました。

「それなら、しばらく、ここでお待ち下され」

大男たちは、持っていた八貫匁(はっかんめ)*1もある鉄棒を、家の入口にもたせかけて、縁側に腰をかけ、待つことにしました。おかみさんはお茶とくるみを出しました。

*1:[八貫匁]三十キログラム。

ところが、この四人の大男たちは、山ぐるみをはじめて見たので、どうやって食べたらいいのかわかりません。手でたたいたり、歯でかんでみたりしましたが、そんなことでは、割れないかたい実です。あれやこれやとやってみても割れないので、しかたなく四人はお茶だけ飲んで待っていることにしました。

やがてむこうの山あいから、薪(たきぎ)の山が動いてきます。四人がおどろいて見ていると、与左衛門が山のような薪を背負って帰って来たのでした。薪をおろした与左衛門は、おかみさんから話を聞きました。

「これはようこそおいでなされた。今、山から帰ったばかりなので、ちと一服してからにしてくだされ」

と言って、縁側においてあった山ぐるみを、ひょいと指でつまむと、そのままバチッと割り、うまそうに食べてしまいました。それを見た大男たちは、自分たちの力ではあれほどどうにもならなかった山ぐるみを、いともかんたんに食べる与左衛門に、またびっくりしました。

おどろいている四人組を与左衛門はにこにこ笑いながらながめたあと、

「さて、ひと休みも終わった。それではわしの方から力だめしをしようかの」

と言って、入口にもたせかけてあった八貫匁の鉄棒を、四本まとめて一緒にねじて、縄にしてしまいました。

四人の大男たちは与左衛門のすることを、あっけにとられて見ていましたが、この鉄棒をねじてしまうのには、とうとう肝をぬかれてしまいました。この調子だと、どこまで力があるかわからないと、いちもくさんに逃げて帰ってしまいました。

馬狩の怪力与左衛門 その3

馬狩のために働いた与左衛門は、照蓮寺で仏教を学び、お坊さんになりました。名を両円(りょうえん)と改め、馬狩に信称寺(しんしょうじ)というお寺を建てました。このお寺は、それからずっと馬狩のお寺として栄えました。今はお寺はなくなりましたが、馬狩の里の真ん中に、お寺の礎石(そせき)*2だけが残っています。

*2:[礎石]柱の立つ基礎となる石。

おわり

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